朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「真っ白だよ、蜜!」
慌てたように私の顔を上げさせる遼は、いまいち焦点の合っていないだろう私の目を覗き込んで、頬を両手で挟んだ。
「大丈夫。ちょっとくらくらしただけ」
「少し、寝てた方が…」
「大丈夫。でも3分休憩欲しいかも」
笑顔を取り繕って、遼の手を剥がす。
できれば、心配なんかして欲しくない。
徐々に定まって来た視界が、再び揺れたのを押し込めるように、目を閉じた。
さっき私は、何を考えていたんだっけ?
突き抜けるような息苦しさに恍惚としながら、何を思っていたんだっけ?
差し出された、ペットボトルの緑茶を受け取り、雪音ちゃんの笑顔を思い出す。
哲の笑顔を、思い出す。
うまく行けばいい。
だけど。
哲は、私がいたら雪音ちゃんとつき合えないかも、知れない。