朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


くすんだような濃い紅色が、ぽつぽつと木に映える。


リンゴの収穫は、もう終わりそうではあるものの、最近の寒さに冬リンゴ特有の、まったりとした赤さが、白雪姫を思い出させた。


遼が連れてきてくれた、場所。

リンゴ園ではない。

でも、リンゴの木は確かに数本、少しずつ落葉しながら立っていた。



「ほら、リンゴと野菜。両方あったよ」

「ほんとだ!遼すごいねぇ!よくこんなとこ知ってたね!リンゴの木、すごい綺麗!」


「昨日調べて、今朝電話してみたんだよ。そうしたらまだリンゴ穫れるって言うからさあ」



えっ…。

マジで?
調べてくれたの?


…嬉しい?
……いや、申し訳ない。



だけど、こういう時はまず、笑顔でありがとうですよって、髭団長が。




「遼、ありがとね!」




前にそう、言っていた。




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