朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「遼、遼!見て見て!紅玉いっぱいあった」
少し小振りの、堅そうな赤。
口に含めば酸味の強いそのリンゴは、アップルパイに最適だ。
この土地で穫れたものかどうかは解らないけど、とにかくたくさん積まれた紅玉は、私の控え目なテンションを上げさせる。
ああ、私のテンションはいつも低めだから、別に遼と居るのが嫌とか、そういうんじゃない。
むしろ綺麗な顔立ちの、眼鏡王子と一緒にリンゴを手に取って笑うのは、楽しい部類だ。
遼の袖を引っ張って、あれも欲しい、これも欲しい、このカボチャは可愛い、などと。
到底、カボチャと並べて似合うタイプでもないのに、ひとつひとつじっくり眺めている遼の動きがもどかしい。
「遼!あっち、花がある」
多分、小菊だろうと思われる花の、ハッキリした黄色の芯を早く見たくて。
私は遼の手を、取った。