【完】俺が消えてしまう前に
「いっちゃん!!」
「・・・!?」
俺はいつの間にか、廊下で横になっていた。
窓の外を見ると少し空が赤く染まっている。
「愛希・・・」
「どうしてこんなところで寝てるの?」
「いや、分かんない」
なんか、長い夢を見ていた気がする。
だけど思い出せない。
思い出そうとすると少しだけ頭が痛む。
「びっくりしたよ。いつの間にかいなくなってて」
「ごめん」
「だいじょうぶ!それよりね?なっちゃんが・・・」
「七海・・・!そうだ、七海は!!」
「・・・うん」
俺が七海を心配する権利なんてもうないはずなのに。
一度七海を見捨た俺なんだ。
・・・心配する権利なんて。
だけど俺の体は動いていた。
「七海は女子トイレにいるんだな?」
「うん!」
「分かった」
「あきだけじゃどうしようもなくて・・・。いっちゃんみたいに力使えないから・・・」
「お前はまだ使えなくていいよ。小さいんだから」
俺は愛希の頭をぽんぽんと撫でた後、
急いで女子トイレに向かった。
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