【完】俺が消えてしまう前に


だけど、そんな幸せを壊す出来事が起きてしまった。

樹君と昔つるんでいた仲間が
清水さん一家に押し入ってきたの。



樹君とお父さんは必死に抵抗したわ。
警察も呼んで、もうすぐで完璧に追い返せそうだったの。



「お前ら!!もう俺に関わるんじゃねぇって言っただろ!」


「帰って来てくれよ・・・樹がいねぇとオレら・・・」


「うるせぇんだよ!いつまでも俺にひっついてくるんじゃねぇ!」


「んだよ・・・!オレらも女みたいに使い捨てかよ!!!!!」





ある一人の子が
後ろにいた愛希ちゃん目がけて
持っていた鉄バットを振り下ろした。


愛希ちゃんは抵抗もできずになぶり殺しに。

お父さんとお母さんは狂ったように叫びだし、樹君はその場に座り込んでしまったそうよ。





それはもう大きな事件になった、はずだった。


けれど犯行を起こしたのはまだ未成年。
だからニュースにも新聞にものらなかった。

刑も少なくてすんだ。





急に愛希ちゃんを失ったご両親と樹君。

家庭は冷え切っていたわ。



「樹、学校は行かないのか」


「・・・関係ねぇだろ」


「樹そんな言い方しちゃ駄目でしょ?お父さんに謝りなさい」


「本当の父親でもねぇのに・・・てめぇだって本当の母親でもねぇだろうが!」




毎日毎日喧嘩の絶えない家族。
愛希ちゃんという太陽を失った事で、
全てが夜になった、と表現してもいいわ。
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