てのひらを、ぎゅっと。


───────・・・。


それは去年の花火大会のこと。


ヒュー…………バーン!

ヒュールルル…………バーン!


私たちふたりは手を繋ぐわけでもなく、
特別言葉を交わすわけでもなく、ただ静かに満天の花火を見上げているだけだった。


咲いては消えてく色とりどりの花火は、
なぜだかとても切なくて。


儚いくらいに美しかった。


手を繋ぎたかったけど、自分から繋ぐのは恥ずかしかったし、何より花火を見上げるこうちゃんの横顔がとてもキレイで、ドキドキがやまなかった。


結局この花火大会は何も起こらないまま終わってしまって、少し悲しい気持ちになったのを今でも覚えてる。


少しほろ苦いけど、今となっては大切な記憶。


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