てのひらを、ぎゅっと。



「優子は大丈夫だ……。でも赤ちゃんの命が………助かるか、分からない」


冷静な顔でそう告げたお父さん。


その顔は隠しきれないくらい真っ青で、
内心はお父さんも心配で仕方ないんだなって分かった。


お父さんから聞いた話しによると、お母さんは私と同じ病院の産婦人科専門の病棟に運ばれたらしい。


赤ちゃんとお母さんの容態から、自然分娩は難しいんだって。


そしてまさに今、お母さんは戦ってる。


赤ちゃんの命をかけて、手術に臨んでる。


「大、丈夫、だよ…………」


きっと大丈夫。


私はお父さんに声をかけた。


そして、自分にも言い聞かせた。


大丈夫、大丈夫だよ。


私のお母さんは、人一倍強いんだから。


私の妹だって……どんな困難にも負けないくらい、強いに決まってる。


だから大丈夫………。


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