てのひらを、ぎゅっと。



「う……っ、うぅ………。おと、さん…おか……ぁ、さん………っ」


目を閉じると、すぐにまぶたの裏に浮かんでくるふたりの笑顔。


大好きなふたりの、優しい笑顔。


他の手紙も、間違いがないか読み直すつもりだったけど、やめた。


だって、涙がでてきて止まらないから。


余計に寂しくなるから。


ああ、私、本当に死んじゃうんだ。


そう思うと、苦しくなった。


4通の手紙を枕の下にそっと隠すと、眠気に身を任せて、深い深い眠りについた。


今夜は、いい夢が見れそうだ………


と、肌と心で感じながら。



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