てのひらを、ぎゅっと。



─────心優。

─────心優。


その時、どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


私の勘違いだろうか。


─────心優。


いや、勘違いなんかじゃない。


薄れていく意識の中で確かに聞こえる声。


………誰?


そう思った時、ふいに右腕が引かれてそのままてのひらを握られた。


…………知ってる?


私、このてのひらの温もり、知ってる…。


…………こうちゃん?


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