てのひらを、ぎゅっと。
………あの日、心優が亡くなった日から、
私の世界は色をなくした。
親友がいなくなったショックから、ご飯も喉を通らなくなった。
私自身、今までに大切な人を亡くしたことがなかったのも病んでしまった理由のひとつだろう。
私は人の命が尽きる瞬間を、あの日……
初めて目の当たりにした。
正直、心優のいない世界で生きていく自信もなかった。
大袈裟だって思われるかもしれないけど、でも私はやっぱり心優がいないとダメで。
心優は、私の心の支えだったから。
いなくなると分かっていても、尋常じゃないくらいつらかった。
苦しかった。
この苦しみやつらさは、大切な人を亡くしたことのない人には分からないと思う。
心優の死が確定した後、私は何度も繰り返し体を揺すった。
冷たくなったてのひらを必死に握り、
心優に何度も呼びかけた。
でも、もう………心優のてのひらが温かくなることはなかった。
“心優が、亡くなった”
頭でそう理解した瞬間、私の世界は、絶望に包まれた。
でもそんな時、私のそばにいてくれる子が現れた。
ご飯もろくに食べられなくて、上手く笑えなくて。
泣いてばっかりだった私のそばにいて、
私の世界に色を取り戻してくれたのが、
咲来だった。