てのひらを、ぎゅっと。


「おーい!神楽!」


ん?


…………あ、心優。


心優の大好きな人がきたよ。


「大島くん!」

「おう」

「なんか、寂しいね……」

「俺ら、4月から高校生だもんな……。
なんか、想像できねーな」

「本当に……卒業しちゃったんだね……」

「だな。本当、時間が過ぎるのってあっという間だよな……」


時間を惜しむように、地面に視線を落とす大島くん。


でもすぐに顔をあげて、空を見上げる。


「あいつ、きっと喜んでるよな………。みんなで卒業式を迎えられたこと」


………そうだね。


「きっと……笑ってるよ。だからこんなに晴れてるんだよ!心優の笑顔は太陽だからさ」

「あぁ………そうだな!」


笑った大島くんの笑顔は………心優の笑顔とどことなく似ていて、この太陽のように輝いていた。


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