てのひらを、ぎゅっと。



中2の夏休み、近所の花火大会にふたりで行った時の写真。


心優は、白地にピンクの花が散らされている可愛らしい浴衣を着てきたよな。


俺の隣をトコトコと小動物みたいに歩く心優が、可愛くておかしくて、心優にバレないように笑ったっけ。


でも、心優の長い髪の毛が顔の横でひとつに結われていて、そのせいで露わになったうなじを見ては、ドキドキが止まらなかった。


”こうちゃんの隣、ドキドキだった……“




同じく夏休み、心優の母さんに連れて行ってもらった水族館の時の写真。


水槽の中で優雅に泳ぐ魚たちを見ては、
可愛い、とか、キレイ、とか言ってはしゃいでいた心優。


今だからこそ言えるけど、その魚を見つめるお前の横顔のほうが、よっぽど可愛くてキレイだったよ。


心優の母さんが気を利かせて、俺たちふたりだけにしてくれたイルカショーは、
最高に楽しかった。


“こうちゃんがイルカショーで、子供みたいにはしゃいでた!”




秋、体育大会が終わった後に、お互い顔を見合わせて爆笑している写真。


心優は学年対抗のリレー選手に大抜擢。


しかもアンカー。


だけど結果は残念なことに最下位で。


お前はグラウンドの隅っこで、ずっと一人で泣いてたよな。


でも俺、知ってるよ。


心優が誰よりも一生懸命に、毎日の朝と放課後、近所を走ってたこと。


きっと負けたくなくて、一人で体力をつけようと頑張ってたんだよな。


そんな心優に、俺は最高のプレゼントを届けたかった。


”騎馬戦の時のこうちゃん、すごくすごくかっこよかった。そして結果は1位!
こうちゃんは私に素敵な順位をプレゼントしてくれました“




もうひとつ秋の写真。これは確か心優の家に遊びに行った時の写真だったかな?


この日は俺らの6ヶ月記念日。


いわゆる、半年記念日っていうやつだ。


この日俺らは………初めてのキスをした。


その後、心優は真っ赤になって恥ずかしがってたよな。


赤らんだ顔で、こうちゃんありがとう、
ってはにかむから、俺まで恥ずかしくなったのを今でも覚えてる。


“こうちゃんとの大事な日。大好きだよ、
こうちゃん”


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