てのひらを、ぎゅっと。


「なぁ……心優……。う、そだよな…?」


キスしたい。


こうちゃんが一番好きだよ、って涙を拭ってキスしてあげたい。


不安を取り払ってあげたい。


こうちゃん……。


「嘘なんかじゃないよ。気持ちって、簡単に変わっちゃうもんなんだよ」


違う、全然変わらない。変わらないよ。


こうちゃんといる時に感じるドキドキも、まだ初恋のときのまま。


1年前から、1ミリたりとも変わらない。


全く色褪せない私の気持ち。


「ってか、こうちゃんのこと、本気で好きじゃなかったのかも」


嘘。ぜーんぶ、嘘。


本気で好きだったよ。愛してるよ。


こうちゃんの笑顔を見ると嬉しくなって、真剣な顔を見るとドキッとなって。


笑いかければ、笑い返してくれて。


他の女の子と仲良くしてるのを見ると、
きゅーっと胸が痛くなって。


< 56 / 465 >

この作品をシェア

pagetop