てのひらを、ぎゅっと。
私は急いで職員室へ向かう。
階段を降りて曲がる通路で、誰かとぶつかった。
「あ、ごめんなさいっ………」
「わりっ」
ふたりの声が重なった。
────ドキッ。
………やばい。
顔をあげなくても声で分かる。
この声で”心優“と呼ばれることがすごく幸せだった。
「こうちゃん………」
「心優………」
私のドキドキが、最高潮に達した。
全身が心臓へと変わる。
まるで、この世界にふたりしかいないみたい。