魅惑のハニーリップ
「そうだったのか。なんか、ごめん」

「なんで、謝るんですか?」

「ただ浅田が女だってだけで、遥ちゃんが拗ねてるのかと思ってたから」

「ち、違いますよ!」

「ごめん。でもまぁ、安心してよ。俺は遥ちゃんが好きなんだから、よそ見はしない」

 そんなの、さも当然といった感じで。
 宇田さんはサラリとうれしい言葉をたくさん言ってくれた。

 勝手にヤキモチを焼いて不安になっているのは私なのに。
 謝らなくていいことまで謝ってくれた。

 宇田さんはすごく余裕なのだけれど……
 私は余裕なんてまったくない……

「でも、遥ちゃんの気持ちもわかる」

「え?」

「俺も、もし和久井と遥ちゃんが一緒にいたとしたら、仕事だってわかってても気になると思う。遥ちゃんがどうのじゃなくて、相手に気があるって知れば不安になるよ」

「宇田さんでも……ですか?」

 そう聞いてしまったのは、いつも私の前じゃ余裕たっぷりの宇田さんが、そんな風に不安になるなんて信じられなかったから。

「俺だって不安だよ。俺の知らないところで悪い虫がつかないか、気が気じゃない」

 同じだった。
 余裕そうに見えていた宇田さんも、私と気持ちは同じだ。

 宇田さんが八つも年上で大人だとか、男だとか、全然関係ないんだ。

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