魅惑のハニーリップ
「浅田さんのことで悩んでんじゃなかったの? てっきりそうだと思ったのに。だったら、なんでそんな困った顔してたのよ?」

 悩んでる原因が浅田さんではないとわかり、優子は少し呆れた表情でテーブルに頬杖をついた。

「言いなよー。ちょうど佐那子さんにも聞いてもらえるじゃん」

「うん……実はね……転職話があるの」

「転職?!」

 “転職”というキーワードに、優子はかなり驚いた様子で。
 だらりとした感じでついていた頬杖をやめて、むくりと起き上がった。

 それから優子と佐那子さんに、大学時代の友人である千秋のことや、千秋からショップを手伝ってほしいと言われてることを話した。

 ふたりは何も言わずにじーっと聞いてくれていたのだけど……

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