魅惑のハニーリップ
 一夜明けて、佐那子さんの結婚式の日がやってきた。
 なのに、式場へ行く途中で宇田さんから電話がかかってきた。

『遥ちゃん、ごめん。俺、ちょっと遅れるかも』

「えぇ~!! どうしたんですか?」

『クレーム出ちゃって、今からクライアントのところに向かう。佐那子にそう言っといてくれる? 電話が繋がらないんだよ』

 よりによってこんな晴れの日に……
 だいたい、今日は土曜で会社もお休みなのに……
 宇田さんは、なんてツイてないのだろう。

「お、遅れるってどれくらい遅れるんですか?」

 それを聞いておかないと、佐那子さんに説明できない。

『はっきりわからないけど、なるべく遅れないようには行くから』

「わかりました。佐那子さんに伝えますね」

 クレームの対応だから、時間がどれくらいかかるかなんて予想は立たないはずだ。
 私もとっさになにをわかりきったことを聞いてしまったのだろう。

 一年以上同じ会社で働いているのに。


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