魅惑のハニーリップ
「というわけで……今いただいてもいいかな?」

「へ?」

 言われた意味がわからずポカンとしてたら、あっという間に宇田さんの顔が近づいて、唇を奪われた。
 宇田さんらしいやさしいキスなのに、それは思った以上に長くて……
 心臓がドキドキと鼓動し過ぎて、壊れてしまいそうなくらいだ。

「……うまいな」

「な、なにがですか?!」

 今のは、うまいとか下手とか言われるようなキスじゃないと思う。
 そんな深いキスじゃなかった。
 最後に唇をペロリと舐められた気はするけれど。

「なにって、遥ちゃんの唇だよ。甘い味がして、うまかった。遥ちゃんらしい味だった」

 そういう意味の“うまい”だったのか。“上手い”ではなくて。

「さっきカフェで甘いカフェオレを飲んだんです。きっとそのせいですよ」

 すごく恥ずかしくなってきて、私はしどろもどろになりながらも言い訳めいたことを喋った。
 恥ずかしさを紛らわせるために。

「でも、甘いもの好きな遥ちゃんっぽいな。唇が甘いなんて。うまいしかわいいから何回でもしたくなる」

「えぇーー!!」

「そんなに驚かなくても」

 クスクス笑いながら、宇田さんはまた私の手を引いて歩き出した。

 今のは……からかわれたのだろうな。
 私が変なリアクションをしちゃったせいだ。

 だって、宇田さんにキスされたらすごくドキドキするんだもの。
 だけどもちろん嫌じゃない。

 私とキスしたいって思ってくれることが、すごくうれしかった。

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