魅惑のハニーリップ
「和久井……お前、なにしたんだよ!」

「はい?」

「俺の彼女になにをしたのかって聞いてるんだ!」

 宇田さんが和久井さんにすごい剣幕で怒鳴りつけている。
 だけど、さっぱりその意味がわからなくて、私の両目から出ていた涙が瞬間的に引っ込んだ。

「違いますよ。先輩まで……なにを勘違いしてるんですか」

「勘違い?」

「俺は遥ちゃんになにもしてないです。潔白です」

「嘘つけ! お前が泣かせたんだろうが!」

 宇田さんは、和久井さんのせいで私が泣いてると思ったようだ。
 だから和久井さんを鋭く睨んでまくし立てているみたい。

「和久井、お前……まだ諦めてないのか?」

 無実の罪をきせられ、そんな風に言われた和久井さんは、はぁーっと盛大な溜め息をその場で吐き捨てる。

「なにを言ってるんです? 俺なんてとっくに脈ナシってわかってますよ。てかね、先輩、もうちょっと冷静に考えてくださいよ」

「なにをだよ!」

「遥ちゃんが泣いてるの、誰のせいなんでしょうね?」

 興奮している彼とは対照的に、和久井さんはとても冷静に、宇田さんにそう言ってのけた。
 その言葉で、宇田さんも少し我に返ったように、視線を私に移す。

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