Dolls
母の時は、いつものように学校から帰って来たある日だった。


玄関の扉を開けると、見慣れない黒の革靴があった。
父のものではない。


リビングへ向かうと、そこには誰もいなかった。
客間はここにしかないから、誰かが来てるとすれば二階の部屋しかないだろう。


ゆっくりと二階へ上がっていくと、両親の寝室からわずかに声が聞こえてきた。
男の声ではなく、女の声だ。
どう聞いても話し声ではないそれは、中で何をしているか想像もしたくないことで。


私は気付かれないようそっと自分の部屋に入り、何事もなかったかのように制服から部屋着に着替えた。
それにしても自宅に男を連れ込むとは...と、親が何をしていようが興味ないが、普段大人しそうに見えた母がそんな大胆なことをしたことには、さすがに驚いた。
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