親愛なるシャボン玉
「おはよー!!、柴田さん!」
下駄箱から上履きを取り出そうとしていた羽瑠の背中に、例の“苦手なタイプの女”が声をかけた。
朝からテンションの高い声に、うんざりした。
きっとこの人には悩みなんて無いにちがいない…そう思った。

「…おはようございます。」
うんざりしながら仕方なく答えた。上履きを履いて立ち去ろうとする羽瑠の腕を、女が無言で掴んだ。 そして、半ば無理矢理、羽瑠に茶色の封筒を押し付けると、
「放課後、部室で待ってるよー!!」
とだけ言い残して、走り去った。

「…………」
その背中を見ながら、“やっぱ苦手だ”と心の中で呟いた。


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