狼系王子とナイショの社内恋愛
「佐々山課長、偶然ですね。僕、企画課の結城といいます」
「……ああ、知ってるよ」
佐々山課長と呼ばれた優輝が、動揺を隠して結城さんに視線を移してわずかに微笑む。
瞳の隅で私を映しながら。
「あ、知ってるんですか。まさか佐々山課長まで噂で、なんて言いませんよね」
「いや、優秀らしいからね。管理職の間ではみんな知ってると思うよ」
「いえ、優秀だなんてとんでもないです。
おひとりですか? よかったら座りますか?」
そう誘う結城さんに、優輝が私をちらっと見る。
それから、いやいいよと結城さんを断った。
「邪魔しちゃ悪いしね。
……付き合ってるのか?」
「そう見えますか?」
意味深に微笑む結城さんは多分、からかっているだけなのだろうけど。
優輝はそれをうまく冗談だと交わせずに困っているのが見てとれた。