狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「全部言わないと分かりませんか?」



噂なんて流されたところで私は大丈夫。
結城さんに言った事は本当だし、意地を張ったわけでも遠慮したわけでもなく、本心からそう思った。

山川さんだって、結城さんに恋するあまり善悪の判断もつかないほどに煮詰まってつい噂を流す行動に出てしまったのかもしれないし。
今のところ噂で困っているのは突き刺さる視線くらいだしそれも時間が解決する。

だから大丈夫。なんの問題もない。
……そう思っていたのだけど。

こうなってくると少し話が変わってくる。

「佐々山くんも結婚が決まったばかりだし、事実ではないとは思うんだが……。
コンプライアンス課にまで内部メールで封書が届いたとなると、何もせずに放っておく事もできないんだ。
一応、私の方から確認だけさせてもらいたいんだが」

結城さんと両思いになった一週間後、私と佐々山課長は放送でコンプライアンス室の応接室に呼び出された。



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