狼系王子とナイショの社内恋愛


課長なんか……。
優輝なんかどうにでもなればいいと思うのに……。

優輝の笑顔が、頭から離れてくれない。

俯くと、両目から涙が落ちて、グレイのコンクリートを濡らしていく。

「復讐なんか、したいわけないじゃないですか……」
「……あんなひどい男なのに?」
「ひどい男なんて言わないで」
「ああ、ひどい男だって噂され放題の俺が言うなって事ですか?」
「違います……。
私の好きな人を、そんな風に言わないで」

涙のたまった目で見つめていると、結城さんの瞳が驚きからか大きくなる。

バカだと思ったのかもしれない。
私だって自分で笑っちゃうし。

だけど、私は振られたからってすぐに嫌いになれるほど器用じゃないし、軽い気持ちで優輝を好きだったわけじゃないから。

傷つけられても裏切られても。
せめて自分の気持ちだけには、嘘つきたくない。



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