狼系王子とナイショの社内恋愛


「高橋さんがアイスとか言うから、なんかアイス食べたくなりましたね。
高橋さんも食べませんか?」
「……気持ちをえぐりとられたみたいって言ったんですよ。アイスすくうスプーンで。
なのによくそんな気になりますね」
「だって実際に高橋さんの胸をえぐったスプーンですくったアイスが出てくるわけじゃないですし」
「当たり前でしょ。……っていうか、胸をえぐりとられたわけじゃありません。
気持ちをです」
「あ、そうなんですか。てっきり……」
「てっきりなんですか」
「とりあえず、座ってください。
アイス頼みますから」

私の重苦しい雰囲気を払拭するように、結城さんが明るい笑顔でアイスを勧める。
その笑顔に思わず根負けして呆れ笑いを浮かべながら頷いた。


空気が読めないのか、優しさなのか。
本当のところどうなのかは分からないけれど、今回は後者にとっておこうと思う。



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