狼系王子とナイショの社内恋愛
会社では断れる感じじゃなかったし引き受けるほかなかったけど、こうしてひとりになって考えると、これは私ができる事じゃないと思い知る。
だって、ケーキになんて文字を入れてもらうの?
ハッピーウエディングとか、祝結婚とか……それを私が優輝の名前でお願いするの?
他の人との結婚を祝って?
――そんなの、無理に決まってるじゃない。
ポキっと音がして折れた気持ち。
それでも頼まれたからにはどうにかしないとと思って、画面をスクロールしようと思ったけれど……。
できなかった。
まるで石みたいに動かない、マウスを握ったままの右手を見つめてから、重たい気持ちをため息で無理やり吐き出した。
それから仕方なく、隣でヘッドホンをつけてDVDを見ている結城さんのYシャツを引っ張る。
結城さんはヘッドホンを外しながら、どうかしましたかと小声で聞いた。
「悪いんですけど、私の代わりに飲み会のできるお店を検索して決めてもらえませんか?
できれば、オシャレな感じで、普段の飲み会とは少し違う雰囲気のお店で」
「探し方が分からないんですか?」
「……いえ。分かるけど、どうしても探せそうにないので」