狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「俺に興味が出てきましたか?」



優輝と会ったのは、今の課でだった。
私が新入社員として総務課に配属されたのと同時期に、優輝も課長として総務課にきた。
つまりは課長に昇進して総務課にきたって事。

歳は七歳上だったけれど、とてもじゃないけど頼れる感じの印象は持たなかった。

ちょっとしたケアレスミスも多いし、パソコンを使っていても保存を忘れたり、画面をフリーズさせたりと、いつもドジばかり。
だけど、そんな課長のミスは課内をいつも和ませてくれているように感じた。

新入社員の私からみると、余計に。
私がミスをして落ち込んでいても、俺に比べればミス少ないから大丈夫と励ましてくれた時の事は、まだ鮮明に覚えている。

そんな優輝との仲が恋人に発展したのは、入社して一年が経った頃だった。

会社全体で行われた歓迎会で、悪酔いした他の課の人に迫られるっていう軽いセクハラを受けて。
嫌悪感から会場を抜け出した私のところに来てくれたのが、心配そうに顔を歪めた優輝だった。



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