理想の子
ある日、また次男の嫁から電話が掛かってきた。


『もしもし、お義母さん?
お久しぶりです、桐江です。

いつも唯香がお世話になってます。


……その唯香のことなんですけどね、本人が1人暮らしを始めたいって言ってるんですよ。

まあ、そちらに引っ越して半年以上経ちますし。

お義母さん、唯香から何か聞いてます?』


よりかちゃんとの生活に疲れ始めた私は、電話口で会話するのもおっくうで仕方がなかった。

だらだらとした口調で、返事をする。


「……唯香なんて知らないよ。

私にはよりかちゃんしかいないもの」


あの日から、よりかちゃんが私の全てだった。

今だってそうである。

初日はあんなに嬉しくて仕方がなかったのに、今ではもう、苦痛でしかない。


あの幸せな日々は、もう、遠い昔の出来事に思えた。



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