手をつなごう


「1090円です。」

料金を支払うと、軽く会釈をしてタクシーを降り、陽太の姿を探す。


「おはよーございますー!!つばきさん!!」


ふいに後ろから聞こえた声に振り向くと、笑顔で陽太はベンチから立ち上がった。


「遅いですよー。待ちすぎて、泣いちゃうとこでしたー。¨つばきさ~ん¨って。」


頬を膨らませて、口を尖らせなが陽太はいった。


「急に呼び出したのは陽太でしょ?ちゃんと来たんだから、叫ぶのは止めてよ。」


椿も、負けじと頬を膨らませる。


「だって、椿さんが帰った後に休みになったんすもん。こりゃぁ、遊べって事だなぁ~?勝手に決めました。マズカッたですか?」


自分で行動したクセに、今更困った顔をして椿を覗き込んだ。


「無理だったら、来てないって。でも、今日は陽太のオゴリだからね。」


「まじっすかぁ~?!う~ん・・・分かりました!今日は、俺がおごっちゃいます!!じゃぁ、行きましょっか!!」


そう告げると、陽太はグングンと歩き出した。


椿は、見失わない様に陽太の隣に並んだ。


それに気付いた陽太は、歩調を椿に合わせて¨着いてからのお楽しみ¨と笑顔で告げた。




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