叶わない恋

何度殴られたかわからないがあたしは立っていることすら困難になり倒れこんだ。

『クソガキ寝てんじゃねーよ！』

泰介は無理やりあたしを立たせようとするがすでにあたしにそんな力はない。足にすら力が入らないし声も出なかった。

泰介はいきなりあたしの両足を掴み振り回しはじめた。回る視界の中であたしは自分は死ぬのだと思った。

強い衝撃と共にあたしは床に落ちた。壁に叩きつけられ落ちたようだった。全身の痛みで目を開けることも声をあげることもできなく動けないあたしを見て泰介は死んだと思ったようだった。


『おい、寝てんのか？起きろ！おい亜美！』

泰介があたしを抱き起こして頬を軽く叩く。さっきの殴るとは全く違っていた。それを優しさだと感じるあたしはおかしくなっていたのかもしれない。

『…パパ』

声を絞り出して泰介を呼ぶ。泰介の体から力が抜けた気がした。そしていつも遊んでくれていた頃のように優しく抱き締めてくれた。

『よかった、ごめんな』

泰介はあたしの頭を撫で謝ってきた。声が出なくて頷くだけだったが泰介は笑ってくれた。少ししてシャワーを浴びさせてくれ傷の手当てをしてくれた。顔は少し腫れていたくらいでほとんど傷はなかった。体は痣だらけだし動かしにくくなっていた。湿布をはったり冷やしたりしてどうにか腫れをひかせた。そして一緒に布団に入り泰介の腕の中頭を撫でられながら眠りについた。