七夕レイニー


 コクリとうなずく。
私が小学生だった時、母がこっぴどく転んで数日の間入院することになった時にお世話になった。

別の場所でもっと大きい設備の揃った病院にするんだとここは取り壊しになって、空き地のまま三年ほどが経っている。

別に悪い噂とかは何一つなかったのに、空き地になぜかぽツンと柘榴の木だけが立っているのが不気味だといわれてもいる。


「──あっ!」


 そこまで思ってようやく思い出した。

母の見舞いに行ったのに検査だと言われて会えなかった時だ。

外の木陰に寝転ぶ不思議な少年を見つけたんだった──。


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