恋愛のやり直し方
もしかして……




少し期待して、でも空っぽだったらという諦め半分で、キッチンの冷蔵庫を開ける。





ひんやりと冷気が身体に触る。





「あ……」






立花さんって人は。







目の前には、生ハムやチーズ、数種類のサラダなんかが小さくまとまって盛られている一人用のオードブル。

そして、その上の棚には見たこともないような鮮やかなロゼワイン。







『引越し祝い』





几帳面な字で書かれたその字は、まさに立花さんを思い起こさせる。




痒いところどころか、全身に手が行き渡りすぎる。
こんな人に甘やかされたら、人間としてダメになってしまうだろう。




空腹に鳴るお腹を押さえて、冷蔵庫を閉じる。
その場で全部お腹に入れたい衝動を必死で我慢して抑える。



だって、コレ、今食べちゃ申し訳ない気がした。
せめて、身体だけでもスッキリ綺麗に洗い流してから頂こう。




前の家よりも広くて明るいバスルームへ向かった。
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