不思議な“キツネ”ちゃん

「なんで、ここにいるの」

学校を教えたことも、
今日病院に行くことも教えてないのに。

「まあまあ。取り敢えず乗れよ」

助手席のドアを開けてくれる宏樹は
相変わらず紳士だが。

嫌な予感がするのは気のせいか。

「質問に答えて」

シートベルトを締めた宏樹を睨むと
睨み返された。

「どっかの誰かが一年間以上も病院に
来ないから心配した。
病院変えたのかとも思ったけど一応、
看護婦達に言っておいた。

『羽咲帝から連絡来たら直ぐ知らせる』
ってな。

そしたら今日、今さっき連絡もらった。

これでいいか?」


ため息をつきながら私を見るが、
まだ質問に答えてないところがある。

「なんで私の学校と居場所が、」

「調べた。それよりも俺はお前に聞きたいことがある。

今まで薬はどうしてた。
あの薬は其処ら薬屋では入手できない。

病気の症状はどうだ。

あと、精神的にも大丈夫か?」



最後の質問では私を窺うようにするから
心が痛くなった。

苦しいのは私だけではないのに
こうやって宏樹に気を遣わせてる。

< 134 / 163 >

この作品をシェア

pagetop