不思議な“キツネ”ちゃん

アノヒトとの約束さえなければ
今死んでも悔いはない。

だってアノヒトがいない世界なんて
意味なんかないんだから。


でもアノヒトが好きだった世界で
約束を守るっていう目的がある。

だから今を私は生きてる。






生まれてから今まで。

一度も家族や友人、ましてや愛なんて。


貰った事もあげたこともなかった私に。

無償の愛をくれたアノヒトが、

愛することを教えてくれたアノヒトを、

私の全てだったアノヒトに、





「なあ」

伝えたい。


「帝は今も、」


私の一番は今までもこれからも、



「あいつの事、」

永遠に、ずーっと。


「愛してるのか?」


高速道路を走るベンツを運転する宏樹が
前を向いたまま聞いてきた。


宏樹の体から緊張が伝わってくる。


私のコレカラを知っているからなのか。

それとも私の狂った愛に恐怖してるか。


でも。そんなのきにしない。

「愛してる。これからも、ね」


きにしないくらいに私はアノヒトに
依存している。



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