人間ゲーム


「なぁ、広人‥。」


帰り道にオレは夢のことを話そうとしたが、やめた。


もしもオレが言ったことによって、それが現実になったら嫌だから。


「ん?どうしたの?今日変だね~!俺の所に来るしー。」


広人が遠くにある公園を見ながら言う。


オレ、そんなに変なのか‥?


「いや!何でもない‥けど、もしもだぞ?もしも恐ろしいことを未然に防ぐことが出来たら、広人はどうする?」


「なにそれ?ゲーム?そうだな。俺なら、俺自身がダメージを受けても防ぐけどー、兄ちゃんもそうでしょ??」


広人があははっと笑いながら、オレを見つめる。


どうやら、広人は何かのゲームの話だと思っているようだ。


だがその言葉は、オレが求めていた言葉だった。


「だなー、オレもそうする‥。」


もしもあの夢が現実なら‥?


もしもこれから起きるなら‥?


それが現実になったなら、救えるのはオレしかいない‥。


あの夢を見たオレだけにしか。


ふと横を見ると、青々としげっている木から枯れた葉っぱが地面に落ちる。


「夏だな‥‥‥。」


「そうだね、暑くて嫌になる。」


広人が制服に空気を入れるように、バサバサと手を動かした。


そんな広人を横目に今の季節を確かめ、これからオレは何をするべきなのか考えた。


そして、ある一つの結論を導き出した。


今のオレにはこれしか方法はない。


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