【完】もう一度、音を愛す。
______舞台上。
計算通りだ。
宮坂夫妻のたった一人の娘である私。
遺族であり被害者の私。
天才少女だった私。
マスコミの格好の餌。
人々の好奇の的。
注目をそらすことはできた。
さあ、問題は
何を弾くかだ。
いや、弾けるかかもしれない。
すでに私は足が震えていて
ようよう椅子に座ったぐらいだ。
緊張?
それだけじゃない。
何かが私を押さえつける。
視線が怖い。
これが私の克服できていない
弱点なのだろうか。