【完】もう一度、音を愛す。
「№26、城田麗華。
ステージにどうぞ。」
麗華の番が来た。
会場が心なしか温度が上がるが
緊張感も高まる。
このコンクールの優勝は
私か麗華と騒がれている。
勝手なものよ。
私の演奏はあの一回きりしか
テレビで知られていないのに。
天才少女の重みはこんな所まで。
今の私を見てほしい、
聴いてほしいなんて伝わらない。
分かってくれるのは
麗華や私の周りに今いてくれる人。
「麗華・・・。
音を響かせて、思うままに。」
これは幼い時から
お互いが演奏する前に送る
秘密の暗号。
自分の力を出し切れるようにと。