sound village

謎めいたヒト ** side斐川




『週が明けたら
…聞いて欲しい話が
あります。』


この間、満員電車で
腕の中に封じ込め
囁き掛けたコトバに

ピクリと体を震わせていた
音村係長を思い出す。


『…今、言えない事?』

顔をあげる事なく
俺の腕の中から問いかけた上司に

『ーーーはい…』

そう答えたのは…


自分の中で…まだ、
迷いがくすぶっているから


今、俺が見つめる2つの未来は
真逆の方向へ、ベクトルが
向いていて。


必然的に…どちらかを
諦めることになりうる。


ーーー両方、手にいれたい

できることならばーーーー

…だから…啓太のコトバを参考に
今日までは時間をひき延ばせると
ギリギリまで考えるつもりで
時間を設定した。


足掻きたい


いつだってバスケなら
ブザービーターまで
諦めなかった。


だったら…自分の
人生だって諦めない。





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