sound village



啓太が言っていた“係長の後悔”
…が、何を示すかなんて


あの人が…まっすぐ
客席に目線を向けただけで
理解した。


俺達が…おそらく佐藤係長すら
見たことがないであろう姿
…見せれば、どうなるか等
想像に容易い。


…あとで柏木には
重々釘をささねばなるまい。

ヤツが、この確実にダメージを
与える手段を活用すること等
安易に予測できる。


…もはや…国籍すら
違って見えるあの女性は、

いつもの“上司”
なんて姿では、そこには
立っていなかった。


…タチの悪い…
エロスな天使


そんな風に

指先を伸ばされたら


奪いに行きたく
なってしまう。



楽しそうにギターに合わせて
ビジュアル系の嫁と2人
省エネな振り付けを踊る姿に
自分の口元が綻ぶのがわかる。

いつもなら、慌てて引き締める
その行為も、なんだかそのままに
しておきたくなる。


耳障りのいい音並びの英語が
係長の唇から溢れ出す。


“あなたと恋人となれたら…”

俺でも聞き取れる
易しい構文の歌詞は…


特定の誰かに
向けていますか?


最近は…腕に抱き止めても
抵抗しなくなった貴女を

邪推しても…いいですか?





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