sound village

取捨選択 ** side斐川





最後の一曲




今日唄ったボーカリスト3人と
数名のギタリストが
ワラワラとステージに
あがってくる。



「ごちそうさま」


クスッと柏木が笑う意味が
容易く理解できる
際どさの中にも確固たる芯を
感じさせる真紅のドレスをまとう
そのヒトはーーーー


同じく真っ赤な
扇子を扇ぎながら


パックリひらいた
背中を惜しげもなく客席にさらし

振り付けなのだろうか?

舞台中央より対称位置に立つ
ビジュアル系の嫁と、
同じく対照的なポーズで停止して
ギターのスタンバイを
待っている様子だ。



「“サプライズ”って…
曲名かなぁ?」

プログラムを眺めながら
神島が呟く。

「どうかなぁ…曲名とは
違うと思うけどなぁ。」

柏木曰く、そもそもライヴで
プログラムを配布するとか
あんまり聞かないらしいが

「でも、チビッコやレンちゃん、
その他俺等の知る人物は、
同じ音楽教室に通ってた訳やろ?
観客も同類が多いん違うかな。
あのアイドル男、講師なんやろ?」

それなら曲名がわかる方が
楽しめるんじゃないのか?って、
柏木が言う。



 
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