sound village





…それだけ…


ホンキなんじゃないの?


途中で見守るだけだった
俺と違って…って…


まさか…

佐藤係長も…
なのか?

日頃から、音村係長の事…
柏木と取り合ってるけど。

アレ、冗談じゃないのか?

…チラリと隣のカノジョを
見遣る。


「…なによ?」


「いや…何でもない。」


…コイツに言うと、
色々焚き付けそうだから
黙っていよう。
そんな密かな決意をしていれば


「すまん。遅くなったな。
俺、社用車返さないとあかんから、
お前も乗っていけよ、神島。」


バツの悪そうな表情をした
柏木が、スーツと革靴のまま
コートに入ってくる。


見た感じは、
違和感はなさそうだ。

コッソリ様子を静観していれば

「柏木さん、おっはよぉ〜」

…隣の爆弾娘が、胡散臭い
笑顔を振りまきながら、
ヤツに向かいボールを投げる。


ワザとなのか、ノーコンなのか
柏木から少し離れたコースに
飛んだ球は、普段のコイツなら
難なく取れることは周知だが。


「えっ。外した?」

「柏木さん、ストップ!!
瞬、 拾ってきて。」

習慣的にボールを拾いに
行こうとした柏木をカノジョは
一瞬で静止し、俺を使う。


…バレたな…(笑)


この後の柏木の惨状が
見なくても想像が容易くて…


俺は、弾んだボールを手に
そのままスーツに着替えに
退場した。














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