sound village

純情男子** side斐川





神島と柏木が部長に連れられ
外出した直後、ピータイルの床を
OAチェアーに座ったまま
あのヒトが器用に床を滑り
近づいてくる。


…イヤな予感しかしない。


「斐川、昨日どおだった?」

“どうって”…どう答えれば
いいのだろう。

“チャンスとばかりに、
想いを伝えました。”と
言えば良いのだろうか?

“…柏木と出くわしました。”と
言えばいいのだろうか?


そもそも、このヒトは、
俺に何をさせたかったと
いうのだろう。


…だから…

「佐藤係長の…ご期待通りの
状況ですよ。」

等と、誘導尋問にかければ


「…マジかよ…」


驚愕の表情でもって、
視線を彷徨わせる。

…なにか…マズイ地雷を踏んで
しまったのだろうか…?

いや、このヒトは、一体
俺の台詞から、何を想像したと
いうのだろう…。










< 402 / 625 >

この作品をシェア

pagetop