sound village
戻るべき場所**side神島/
 


結局、一年を待たずして
再び踏んだ日本の地――――――


斐川が、プロに挑むつもりは無いと
決断をした為か…

柏木が、向こうに転籍すると
決断をした為か…

きっと、その両方が、
もうアメリカに居る必要がないと
判断された要因なんだろう…


こんな事をいうのは
不謹慎極まりないのは
重々承知だが…


「…ムコウでのゲーム…
おもしろかったな…」


それだけが、こちらへ戻った
心残りだなんて、大きな声では
決して言えない事だけど。


「…ああ…気をつけないと
ポロッと溢してしまいそうだ。」


溜息混じりに溢した本音を
拾った斐川が苦笑しつつ同意した。

「マジ、色々気をつけろよ。」

柏木の事とか…

コイツは、感情を顔に出す奴では
ないけれど、あれだけ、アイツが
懇願したのは、その原因の根源を
考えてのはずなんだから。

「大丈夫。感情駄々漏れのお前と
一緒にするな。神島。」

「黙れっ!!」

相変わらず、腹立つ!!

入国審査も無事に終え、
迎えに来てくれると言っていた
佐藤係長と待ち合わせた場所へ
キャリーを引いて向かう。


 





< 506 / 625 >

この作品をシェア

pagetop