sound village
 



「神島君、斐川君…おかえり。」



俺たちの肩に顔を埋めたまま
しゃくり上げるこの女の子を
抱きしめる権利は、俺にも
斐川にも無い…はずなのに。


「音村係長…」

言葉を捜し言い淀む俺を
差し置いて

「ただいま…戻りました。」


そういって、斐川は
当たり前の様に、その背中に
腕をまわして、その人を
抱きとめたのだった。




 
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