sound village
 

ケースの中にあったのは
ユニセックスなデザインの
スポーツウォッチ。

「うわ。めっちゃオシャレ。
係長、センスいいなぁ。」

思わず横から覗き込んでしまう。

「なんで神島が反応すんねん。」

苦笑する柏木が、
さっそく腕に装着しながら
商品タグに貼られた付箋を
摘み上げた。

“これからヨロシクね”

青いインクのペンで
控えめなサイズに
書かれた係長の文字。
入社当時は、よくこの色で
提出書類に訂正を受けてたな…
もう最近こそ、そんなに
無いけどな。

あ。話がそれた。

食い入る様に、その付箋を
見つめていた柏木が、
ハッとしたように顔をあげ
音村係長を緊張した面持ちで
見つめる。

「レンちゃん。…これって
“イエス”って事でいい?」

ちょっと震えた声で
そう尋ねた柏木に
無言で照れくさそうに
頷き肯定した音村係長

「…そうか

…そうか…よし…

よっしゃ…」

そう呟いた柏木は
満面の笑みを以って
腕時計をつけた腕を
天につきあげて
言葉にならない
雄叫びの様な声をあげた。


『…うまくいったのかい?』

柏木の様子から、大凡の
見当はついているようだけど
日本語がわからないアントニオは
俺に状況を尋ねてくる。

『ああ。上手くいったらしい。』
『それは、よかった!!』

見守っていた俺達も
拳をコツンと合わせて
柏木の健闘を祝したのだった。






 

 
 



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