sound village
 

失礼ながら、
そんな不躾な質問を、
言葉を選びながら
ぶつけてみれば

「ん?ぬかりないよ(笑)
周りからガチガチに
固めに入ったし♪」

イマイチ、理解できない
俺の様子に、柏木は、
苦笑しつつ補足する。

「まぁ…そもそも、
数年越しで、仕掛けは
打ちまくってたから
後はお姫様を、追い込む
だけやった。

レンちゃんの説得が
一番、時間かかったな。
途中くじけそうになった(笑)」

…それは、想像に容易いな。

音村係長という人は、
一本芯を持っている人だし。

“狭い…何で
スポーツカーやねん。
モノ積めんやんけ。
趣味がガキ過ぎる。”
そう愚痴りながら、柏木は
車のエンジンをかける。

「そもそもうちの親は、
問題無かったんよ。
俺の弟伝手に、レンちゃんの
人柄が伝わってて、相当
好印象やったし。」

…はて?

何故、コイツの弟が
音村係長の事を知っているのだ。
俺の訝しげな表情に、柏木が
ちょっと驚いている。

「あれ?もしかして知らん?
お前らと同じ一課配属の
ハズやけど?」

「いや…うちは、今、
一人しか下にいないし、
そもそも、違う苗字だが。」

「は?そらそうやろ。
うちは、親が離婚して
アイツは母方の姓を
名乗ってるんやから。」

いや、そんな個人情報を
俺が知る訳ないだろう?!
それに…

「…イントネーションも
違うじゃないか!!」

納得がいかず、更に
疑問点をぶつければ。

「ん?俺と居る時は、
一緒やけど?そもそも
離婚したの、アイツの
入社間近の時期やったしな(笑)
俺も、ムコウで結論だけ
聞かされたって所よ。」

等と、コイツはシレ~っと
かわすのだ。


 










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