M√5

『天才ピアニスト』と称されていた彼女。


あの日、私たちの直前に舞台でピアノを弾いていた。


そして私たちは、『大槻芽奈と同じ高校のバンド』という紹介で出演した。



「大槻芽奈って……あの……!?
 あ……そういえば……!!」


次に気づいたのは、当然というか、深樹斗だった。


私と深樹斗で、緊張しまくって大槻さんの方を見ていたのだから。



「……誰だっけ? 大槻芽奈って」


「……分かんねェ」



そして名前を聞いても思い出せなかった、というか、彼女のことを知らなかったであろう二人。


きっとプリントの真ん中の文字にも気づいてなかっただろう。



「驚いた……。あたしを知らない人がいるなんて」


本当に驚いた顔を見せる彼女。

< 116 / 154 >

この作品をシェア

pagetop