M√5
「うん、まぁ」
「ふぅん……」
素敵な感じ方。
ただ数学で習った事を、そんな風に捉えることができるなんて。
だからあんな詩が書けるのかな。
詩を書いているのは……どっちなんだろう。
「それにしても、山神くんって頭いいんだね。
授業滅多に出ないのに、今だってすらすら解いてるし」
「へへ……今日は、授業合同だって聞いたから出ただけ」
鈴谷くんと違って、口角をきっちり上げて笑う。
そして突然、ちょっと神妙な顔つきになる。
「ね、その……『山神くん』っての、やめてよ」
「え、何で……?」
一ヶ月近くそう呼んでたから、今更変えるのは少し恥ずかしい。