賭けで動く恋
「うっわぁ、何あの着物の人。イイ声してるわぁ~。
おまけにあの身長!
地元じゃお目に掛かれないよね。ね、恵実」
「……えっ、あぁ、そうですね」
淳という男性をジっと見ていた私は2人に聞こえないようにヒソヒソと話しかけてきた百合さんの声にハッとして視線を外して頷いた。
確かに、東京から3時間はかかる田舎ではあんなモデルや俳優みたいに整った人はいないと言っていい。
ぼんやりと声の余韻に浸りながらそう思ってると百合さんが真顔で力説し始めた。
「目と耳の保養だわ。出来れば写メ撮ってまちうけに設定して、録音してアラームにしたいわ。
あの声で『起きて下さい』とか言われたら心臓に悪すぎて一発で起きる」
その言葉に小さく吹き出す。
「心臓に悪いって、それじゃ寿命が縮まっちゃいますよ。それに毎日聞いてたら慣れるんじゃないですか?」
そう言ったけどそんな事は無いだろうなと心の中で否定した。
彼の低くて艶のある、躰に響く声は女性だったら聞くたびに虜になっていくような、不思議な力がある気がする。
漠然とそう思いながら、男性達を見ていた間に運ばれていたスイーツを口にした。