ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



鬼である川本くんは、笑顔を浮かべて振り返る。

“子”である俺たち全員も、公園内を凝視していた。

だが……。

――ピュウ~。

秋をほのかに感じさせる生温い風が吹くのみ。

「プッ! ハハッ……」

「クスクスッ……」

自分たちのしていることがいかに滑稽か思い知らされた。

しかし、川本くんだけはツボらしい。

笑ったまま、ゲームを続ける。

「だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ!」

「クスクスッ……」

あれだけ目を輝かせていた主催者の佑美さえ笑っている。

「だる・まさん・がころ・ん・だ!」

語尾をあげたと同時に、くるりと機敏に振り返る川本くんは、たしかにおもしろい。

「ハハハハッ……。お腹痛い……」

由香里は背中を丸くして爆笑している。

俺も沙奈と顔を見合わせて笑った。

しかし……。

「だぁるまさん……がころんだ!!」


… ……  …



「だ・る・ま・さんがころん・だ……」

不規則にリズムを変える呪文。


……  … …


「ん? なんだ、この感じ……?」

普段はまったく空気が読めない小泉でさえ、察知していた。

遠吠えを続けていた犬の鳴き声も、風の音も、それに同調する葉の揺らめきも、すべてがピタリとやむ。

空気がイビツにゆがんだような気さえする。

そう、これこそが本物の”殺伐とした空気”。

さらに、深い闇が訪れた。

……暗すぎる……。なんなんだ……?


 
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